労働者の権利である時間外手当の請求

サービス残業は、労働者が会社に残業申請をしないで行う時間外労働のことである。介護士の業務は、介護施設の利用者のケアだけではなく、介護記録をつけるなどの事務作業もすることがあり、その作業がサービス残業になることも多い。

残業代が支払われずにサービス残業になる背景には、介護士本人が請求しないというケースもある。それは、残業が生じるのは自分の力が足りていないという責任感から、申請をせずに業務を行うためにサービス残業となってしまうのだ。しかし、時間内に利用者のケアが終わらないのは、介護士個人だけの責任ではない。

利用者の人数に対して、介護士の人数が足りていないこともあり得るだろう。業務が非効率で、うまく回せていない可能性もある。介護士個人ではなく施設側の問題というケースもあるので、残業代はきちんと請求してもいいのだ。さらに時間外手当の計算方法は決まっていて、法定労働時間は1日8時間、1週40時間で、法定外残業はそれを超えた労働のことを指す。また、法定外残業の時間外手当には、一定の増割率を掛けて支払わなくてはならない。

少しぐらいならとサービス残業が積み重なると、大きな金額になる。時間外手当は労働者の権利なので、しっかり申請するべきである。また、サービス残業が多いと感じるような職場環境であるなら、転職を考えるのも一つの方法だ。一例として、介護記録や事務作業のICT化を進めている施設は介護士の負担軽減を重視している傾向が強い。介護士が気持ちよく働けない職場で、利用者が適切なケアを受けられているかというと、そうとは言えない不安がある。